江戸時代、和本の表紙の芯には再生紙や、寺子屋で真っ黒になるまで使われた紙を束ねたものなどが使われていた。(朝日6月5日)
古紙を利用するというアイデアが日本に登場したのは平安時代から。江戸時代には「浅草紙」と呼ばれるすき返し紙の名産品も生まれる。江戸市中から集めた古紙をすき返す紙漉町が浅草の観音に近いところにあったのだ。
紙すき職人は、集められた古紙を煮てどろどろにし、これを紙料としてすきあげる。煮たあと冷えるまで待たなくてはいけないので、その間、吉原の歓楽街に出かけ、格子窓からのぞく女性たちをからかっていたという。買わずに見ているだけのことを「冷やかし」というのはここから来ている。
手習い用の半紙から浮世絵、暦まで、江戸は世界でも有数の紙消費地だった。紙の消費は文化のバロメータともいう。いま、紙消費は当時と比べ物にならないほど多い。それでも、和本の表装の下にさりげなく利用されている再生紙と、わざわざ再生紙を利用していると断り書きのある名刺を比べるとき、当時と比べほんとうに文化的に向上したのかと疑問に思ってしまうのはなぜだろう。 |